法人と個人の関係/法人と代表取締役/個人事業者と法人成り/ひとり社長で法人化/法人成りのメリット/法人成りのデメリット/法人成りの有利不利の選択

会計コラム 個人事業者と法人のメリット・デメリット

2015.9.25

個人事業者と法人のメリット・デメリット

法人と個人の関係

会計コラム「青色申告と白色申告の違い」では個人事業者について見ていきましたが、今回は法人について見ていきたいと思います。

その前に質問です。「そもそも法人ってなんですか?」
すでに事業を始めている方でもこの質問に明確に答えられない方の方が多いのではないかと思います。 「法人=会社」というのは漠然とわかっていても、個人事業者となにが違うのか、なかなか説明がし辛いところです。

端的にいうと、個人事業者と法人では、「法律上の権利義務の主体」が異なります。

個人事業者と法人のメリット・デメリット

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法人と代表取締役

法人とは、ある事業を行うために発起人が集まり、お金を出し合い作り出した「組織」です。 法人は、民法上個人とは別に権利主体が与えられるため、「組織として」さまざまな契約を結ぶことができたり、 納税などの履行義務も組織として遂行しなければなりません。

権利主体といってもあくまでも法律で定められた存在ですから、生身の人間と違い、 契約書類にサインをすることも、意思決定をすることもできません。
そのため、実際の業務は「代表取締役」が、「法人の代表者」としてサインをしたり、 意思決定を行うといった職務を遂行します。

法人の代表者として契約

個人事業者と法人成り

個人事業者としての事業が成功し、毎年の利益が大きくなってくると、法人化した方がいいと一般的に言われます。 いわゆる「法人成り」です。

法人成りとは、文字どおり今まで個人で行ってきた事業を法人として行うことです。 といっても、法人とは事業を共同で行うための組織であり、個人事業者とは主にひとりで仕事を行っています。
個人事業者にとって、一見まったく関係のない制度に思われる法人ですが、 この法人の仕組みが個人事業者の節税に役に立つケースがあるのです。

ポイントは、「ひとりでも法人を作ることができる」という点です。

社長兼平社員

ひとり社長で法人化

法人を作るためにお金を出資する発起人は、1人いれば法人として登記することが可能です。

そのため、個人事業者が法人として事業を行う場合には、1人で出資をし、会社を設立すればよいのです。 1人しかいない会社ですから、代表取締役はおのずと自分自身が兼任します。 株主として会社のオーナーであると同時に代表取締役として契約も意思決定も自分ひとりでできる、 自分の意のままに動かすことのできる組織ができあがるのです。

こうして、1人社長として、個人事業で行ってきた事業を「法人に移転して」行うことができるのです。

法人成りのメリット

事業を法人化するとどんなメリットがあるのでしょうか?

ヒントは、先ほどの「権利主体」の分離です。1人法人では、 代表取締役はあくまでも法人の代表者としての義務として業務を遂行しているにすぎず、 業務によって得た利益は法人に帰属します。 代表取締役はいわばこの法人の利益の「管理者」に任命されたにすぎません。 この管理者としての業務を行う報酬として、「役員報酬」が支払われます。
個人としての利益はこの「役員報酬」として支払われた給料部分のみになるのです。 そのため、法人としては業務の遂行により生じた利益から役員報酬として 支払われた給料を差し引いた残りの利益に対し法人税が、 個人としては受け取った役員報酬に対する所得税がそれぞれ課税されます。

一つの事業に対する利益を個人と法人に分散させることにより、 それぞれの課税ベース(利益)を低くすることができ、 それにより適用させる税率を下げ、トータルとして税金の出費を抑えるということが可能となります。

とりわけ、法人税率を下げる政策が進められている昨今の政治情勢を考えると、利益が多くなればなるほど法人化のメリットが活きてきます。

個人事業主と法人の課税ベースの違い

法人成りのデメリット

一見すべてがよいことに思える法人成りですが、デメリットも存在します。

一番大きいデメリットがコストです。法人は法律によって人格が認められた存在ですから、 法律によってさまざまなコスト負担が義務化されています。 税務面では、利益の有無に関わらず最低年7万円の住民税の負担が求められます。
また、取締役は10年に一度は改選し、再登記しなければならず、この登記費用が発生します。

本店として登記してある住所を変更する場合や婚姻により取締役の氏名が変更された場合であっても数万円の登記費用が発生します。 また、社会保険の加入義務は一人社長法人でもある(個人事業者は従業員5名未満であれば任意加入)ので、社会保険料の負担額も考慮に入れなければなりません。

法人成りの有利不利の選択

これらのコストは微々たるものですが、必ず発生する費用ですから、利益が少ないうちは大きな負担となることもあります。
したがって、これらの費用が気にならない程度に大きく利益がでれば法人成りを検討し、大きく負担になるような規模の小さなうちは余計なコストのかからない個人事業者のまま業務を行うことが得策といえます。

ただし、大企業では取引を行う相手として法人であることを条件としていることもあるので、単に金額の話だけでなく、社会的信用についても考慮に入れることが重要です。 どこからがメリットがあるかは、個人個人の状況により一概には言えないので、気になる方は一度専門家への試算を依頼してみてはいかがでしょうか?


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ライター
株式会社スマイルワークス
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