売上計上のタイミング
会計コラム「毎月の会計仕訳入力の方法」では、会計の世界での収益は現金の収受に応じて計上する(現金主義)ではなく、モノやサービスそのものの動きに着目し、代金を受け取る権利の発生に応じて収益を計上する発生主義によることを解説しました。
では具体的にいつ売上を計上すればよいのでしょうか?
会社の経営は売上がなければ始まらず、売上の金額から経費の予算も決まります。売上の計上を誤ってしまうと、作成した予算がすべて実現不可能なものとなります。 そのため、会計では未実現なものは計上してはならないとしています。実現が可能となった段階で売上が計上されるのです。これを実現主義と呼びます。
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どの時点で実現されるのか
実現主義の考え方でとらえる場合に、発注から納品、サービスの提供までのどの過程で実現したものとされるかの基準として、4種類があります。
種類 | 売上計上する日 | 例 |
---|---|---|
出荷基準 | 商品を出荷した日 | 倉庫内での出荷データを元に売上を計上 |
引渡基準 | 出荷した商品を相手先に引き渡した日 | 納品伝票などを元に売上を計上 |
検収基準 | 引き渡した商品を相手先が検収した日 | 検収書などを元に売上を計上 |
回収基準 | 商品の代金を回収した日 | POSデータなどを元に売上を計上 |
これらは会社の実情に則し、任意に選択できます。
ただし、毎期違う基準を採ってしまうと、年度による金額の比較ができなくなり、不確実な情報を株主などに与えることとなってしまうため、一度採用した基準は継続しなければなりません。
自社にとってどの基準が適しているのか、それぞれの計上基準を満たしているのかを確認するようにしましょう。
仕入計上のタイミング
仕入業務にも、代金が決済されるまでの過程にさまざまな計上基準があります。
これらは、売上と同様に4つの計上基準から任意に選択できますが、やはりその処理方法は毎期継続されなければなりません。
倉庫などの物流施設を保有する場合には、発注部門と商品の受取りを行う部門が異なります。
そのため、入荷時に受取部門が注文書を元に検品を行い、品違いや破損などのない正常な商品の受取りのみを仕入として計上する「検収基準」を採用することが一般的です。
種類 | 仕入計上する日 |
---|---|
出荷基準 | 相手側が商品を出荷した日 |
引渡基準 | 商品が自社に入荷した日 |
検収基準 | 入荷した商品を検収した日 |
回収基準 | 商品の代金を支払った日 |
売れ残りは棚卸資産へ
仕入の金額は、正しい計上基準で計上されても全額がそのまま費用となるわけではありません。
売れ残った商品は手元にあり、費用としてしまうと、売上と原価が対応せず、正確な利益が把握できないからです。
商品を3個仕入れ、2個が当期に売れ、1個が期末に売れ残ってしまったとします。売れた2個に係る仕入高は2個の売上に直接係る費用であるため、売上原価となります。
売れ残った1個は手もとに現物が残っているわけですから、当期の利益に貢献しません。そこで、次期の売上に貢献するものとして期末の資産とされます。
この仕入れた商品のうち期末に売れ残ってしまったものを棚卸資産といいます。
このように、仕入を計上する際は、現物の資産の動きが重要となります。期末棚卸が正確に計上できているかは税務調査での争点となる部分ですので、正確な管理が必要です。
棚卸資産の管理は、品目が多くなればなるほど、手作業では困難です。
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