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「会計事務所サミット2019パネルディスカッション」第3回レポート

公開日:2019/09/04

2019年7月11,12日に開催された「会計事務所サミット2019」に出展いたしました。
7月12日には、パネルディスカッション「中小企業を取り巻く環境変化と会計事務所の役割」に弊社の代表取締役社長 坂本恒之も登壇させていただきました。

パネルディスカッションの様子を全3回に分けてお届けします。
第1回レポート
第2回レポート
・第3回レポート(本ページ)

■パネルディスカッション「中小企業を取り巻く環境変化と会計事務所の役割」

【登壇者】
・中小企業庁
・金融庁
・全銀協
・坂本恒之(株式会社スマイルワークス 代表取締役社長)
・モデレータ:中井誠 氏(株式会社実務経営サービス代表取締役会長)

会計事務所サミット2019 サイト
https://www.jkeiei.co.jp/summit/

 

中小企業を取り巻く環境変化

モデレーターの中井氏を中心に、中小企業庁・金融庁・全銀協・弊社代表取締役社長 坂本を交えて行われたパネルディスカッションの様子をお届けします。(以下敬称略)

 

今後5年間の中小企業の経営環境

モデレータ 中井誠:
ここまでのお話を聞いている中で、何が重要かというと「標準化」というキーワードに辿りつきます。ERPをするにもEDIをするにも、何よりも前に「業務プロセスの標準化」ができていないと結局何をしてもダメ、ということでしょうか。
生産性人口の減少、生産性向上のためには、どうすればよいのか?またそれに対するコンサル業務をどうあるべきなのか?いろいろな要素がある中で、今後5年間に中小企業の経営環境はどう変わっていくのか、各パネラーのご意見を伺いたいと思います。

中企庁:
少子高齢化の大きな波が、中小企業を襲っている点は見逃せません。大企業でも、採用に必死となっています。そんな中で中小企業の「人集め」は、特に若い年齢層の採用は非常に厳しいものとなっております。
そういう意味では人手をかけないためにも中小企業は一層でのデジタル化をしなければなりませんし、経営者自身の高齢化の問題もあります。平均年齢が70歳近くになり、今後10年間で代替わりをしていくことになります。ここにピンチとチャンスがあるわけで、うまく乗り越えられなければ廃業ということになるところもたくさん出てくるでしょうし、代替わりして或いは別の方に引き継いで上手くデジタル化を促進し高い生産性を発揮できる企業に生まれまわれるかもしれない、というチャンスも生まれてくるわけです。

こうした環境の変化に、ぜひとも専門家(会計事務所)のご支援を賜りたい。これから軽減税率が始まっていく中で、これをどうやって手作業で処理していくのか、と考えるとデジタル化は(中小企業に)欠かせない要素であると考えます。

モデレータ:
事業承継のお話は実は会計業界でも同じで、77,000人の平均年齢が67歳、20歳代は0.6%しかいないという現状は、会計業界も重要な課題としてとらえなければなりません。

 

テクノロジーの発展と生産人口の減少

モデレータ:
では、技術的な環境、例えばクラウド、AI、RPAといった技術革新の観点ではいかがでしょう?

スマイルワークス・坂本:
中企庁様からもお話があったように、重要な問題は生産人口が減少つまり働く人が減っていく、さらに働き方改革で労働総時間も減少していくということです。発展するテクノロジーは需要があるから発展するのであって、さらにそこに資金が集まるからなのです。

今AIやRPAが持てはやされているのは、人が居なくなる前提でだれかがその代替をしなければいけないところを、誰という「人」がいなくなるのでテクノロジーでカバーしなければいけないということが、この20年間見込めているからなんですね。なぜなら(移民などを除き)20年後の人口を増やすことはできないから、今1歳の人がいきなり増えることはありえないからです。
20年後もどんどん人は減少するために、人を代替するテクノロジーに注目が集まっているわけです。これはAI,RPAに限らず、膨大なマーケットがあるためまだまだ出てくると思います。こうしたテクノロジーに投資が集まる、だから進展する、だから注目されてくるというわけです。

もう一つ、固定電話回線がなくなることはご存知でしょうか。2024年にはISDN、固定回線がFAXを含めて、ダイヤルアップそのものがなくなります。これは、経営だけでなく生活環境そのものが大きく変化するということで、こうした外的な環境の変化、人が居なくなるということを、テクノロジーを使って代替していくことで大チャンスが生まれるのではないかと思います。

モデレータ:
ISDN、電話がなくなる、これはすごいことですね。例えばこうしたイベントの集客もインターネットとFAXがほぼ五分五分で、会期事務所の方も半数はFAXでお申し込みされています。これがなくなると困るな、ということもありますが。

 

小切手・手形の電子化

モデレータ:
金融業界ではどのような動きになっているのでしょうか。手形や小切手の電子化、というお話もあります。

全銀協:
お手元に「決済高度化に関する取り組み状況」という資料があると思います。これは(2019年)6月24日に金融庁の「決済高度化官民推進介護」で全銀協から報告をさせていただいたものです。
手形、小切手の電子化につきましては、近年取り組みを始めております。私どもでは手形交換所を運営しておりますが、全国で1年間に積み上げた数字といたしまして、2018年では5137万枚が全国で交換されているわけですが、中期的には今後5年間でこの6割を電子的なものに移行するという目標を掲げております。つまり5137万枚のうち約3000万枚を減らして2000万枚にする、ということです。
削減の進捗に関しては手形のほかに電債、電子記録債権の関係でモニタリングしていきたいと考えており、具体的には4つの施策を提言しております。

まずは電債未導入企業への導入促進、そして導入済企業への利用促進です。また、こうした手形電子化のメリットをまとめたチラシ等の作成を行い、小切手の電子化を進めてまいります。小切手の代替としては、エレクトリックバンキングを使った振り込みを推進しております。
電債、手形の電子化につきましては、PDCAのDの段階にきていると思いますが、小切手の方はメリットが訴求し難いと考えております。手形は金額も大きい場合が多く、印紙代の節約、現物管理の軽減、消込作業の簡便さというメリットがあるに対して、小切手は特に中小・零細企業では少額なものも多く、コストメリットが実感しにくいという点があります。

また今までの利用の簡便さから、敢えて電子化の必要性を感じないとするユーザーも相当数いらっしゃるようです。さらに小切手の電子化について、把握、研究を進めていくつもりでいろいろな対策をとっていこうと考えています。電債につきましては、入り口であるインターネットバンキングの導入がなければならないので、金融機関としてそういったものを推進していきたいと考えております。

モデレータ:
もう少し補足をしてお聞きしたい。税金とか、いわゆる公金の収納、支払いについては、今後どういった形で進んでいくものと思われますか?

全銀協:
公金収納の効率化につきましても、前年度勉強会を開いてレポートに纏めました。こちらにつきましては「紙」がたくさん残っている分野で、口座振替手続きの見直しや、各地行体でやり方や様式が異なっている点でどうやって取り組んでいくか、またはバーコードやQRコードを使ってデジタル化を進めていくか、といったことを今まさに研究しているところです。
これは関係各省庁とも連携しながら進めていきたいと考えておりますので、これから徐々に切り替えていこうとしております。

 

AIを利用した新しい融資サービス

モデレータ:
電子データへの移行が必要となる中で、これを用いた新たなファイナンスサービスについては?

金融庁:
AI、電子データを使った新たなトランザクショントレンディングがオンライン上に出てきています。特にクラウド会計を提供する企業の中でも独自に、貸金業登録が必要にはなりますが、集めたデータを使って新しいモデルを構築した融資を実現しています。
オンラインでできてしまうため、遠隔地であっても、貸付までが速い、利便性が高いという声が聞かれます。これはこの1年くらいで進化が見られるところであり、また大手の金融機関でも、AIを使って外部企業と連携しながら融資を進めています。
これはこの1年で大きく進歩したがまだ相当進む余地があると考えていて、メガバンクがやると追随する金融機関が必ず出てくる。金融庁としては利用者の利便性向上につながっていくことを期待しています。

モデレータ:
融資の仕方も相当変わってくる、という事で銀行の担当者が決算書を持ち帰って検討する時代ではなくなってきた、電子データを送って即時に決裁して翌日には振り込まれる、そういう時代が来ているのかもしれないですね。

 

会計事務所が果たす役割

モデレータ:
そうなってくると決算書の信頼性をどう担保するか、会計事務所の役割は大きくなっているように感じます。他国と比較して日本、特に中小企業のデジタル化はどのくらいの立ち位置にいるのでしょう。

中企庁:
先ほど控室で雑談をしていた時、私が中小企業のお邪魔した際、お菓子の缶に領収書や伝票を溜めていてこれを会計事務所に持っていくと帳簿にしてくれるという話を聞いて驚きました。
企業の成績表のようなものが決算書だと思いますので、自社が赤字なのか黒字なのか、紙だと集計に時間が掛るため最悪1年に1回しか勝敗がわからなくなります。これで経営というものが成り立つのか、1年経って負けていたとわかってもそこから取り返しに行くのは大変です。
やはり経営者は日々の状態を把握して、今日はこうだったから明日はこうしようとしたいはず、でも紙ではできない。今は時代が追い付いてきてデジタルになったので、今どうなっているのかがわかるようになってきました。先を見越してうまくできるようになれば、と感じました。

モデレータ:
20年くらい前に、大手通信会社の社長が「日次決算」という言葉をくちにしておられましたが、まさにそういう時代になってきた。1年間の成績表を見て、どうにかしようということではなく、昨日どうだったから今日はこうしよう、だからこそのデジタル化、EDI化という気がします。

ところで会計事務所へのイメージについて、皆様はどういう風に思われますか?

全銀協:
まったくの個人的意見ですが、銀行でも取引先の経営コンサルを業務の一環としてやっているように、会計事務所もそうした業務に取り組んでおられることと存じます。
中小企業からすれば「頼れるコンサル」ということで、相続、事業継承、M&Aなどの他、認定支援機関としての経営支援とか、非常に重要な役割を期待されている存在であると認識しています。先ほど坂本社長より「並走支援」という言葉がございましたが銀行も、特に地域にある銀行は、一緒に取り組んでいけたらと考えております。

モデレータ:
中小企業の身近な相談相手である会計事務所が時代の変化についていけず、今までと同様に紙でやり取りをするアナログな政界に逃げ込んでしまわれることがないように、先生方も頑張っていただきたいなと思う次第です。

金融庁:
中小企業に寄り添ってはいますが、他方では「まだ、紙で」というイメージを正直1年位前までは持っていました。しかしすでにあるテクノロジーを会計事務所として取り込んで中小企業に提案して生産性の向上を図る、または私どもが全く知らないような企業(サービス)をよくご存じで、そうしたものを使いながら金融機関よりは近い存在であると思います。
金融機関側が何かのツールを使いながら会計事務所と連携を図る環境ができつつある中で、金融庁といてもしっかり丁寧に理解して何ができるかということを考えていきたいと思います。

モデレータ:
今後業務のデジタル化がどんなスピードで進むのか、それが会計業界に与える影響にはどんなものがあると考えられますか?

スマイルワークス・坂本:
先ほどから会計事務所へのイメージというお話をされていましたが、私からすると「大変うらやましい」という存在です。私自身も一時期、ITコンサルという形で個人事業主をしていましたが全く信用されない、名刺を渡しても怪しい人にしか思われていなかったです(笑)。
例えばバックオフィスの改革やITサポートをしようとすると、(クライアントの)かなり深い部分に入り込まなければなりませんが、先ずそこに壁があります。これを突破するのがなかなか難しい。ところが会計事務所の方々は、すでに相手の懐に入り込んでいる、信頼されている、非常にうらやましいというのが第一印象です。

一方でどういうことに期待されているかという点についてですが、一言でいうと「バックオフィスの専門家」という風にみられています。会計・税務の専門家であることには間違いないですが、バックオフィスというのはもっと幅が広かったりもしますし、語弊があるかもしれませんが、債権・債務がすごく得意かというとそうでもなかったりします。
我々のようにERPをやっていると、発生主義でリアルタイムに仕分けて資金繰り表にもどんどん反映していきますが、記帳代行を主にしている事務所では締めて10日くらいたって紙で来るので、そこからの資金繰り表しかできません。

これは私の個人的見解かもしれませんが、会計とは、企業のいろんな取引を複式簿記で再集計しているものだと考えています。そもそもデジタル化・効率化というものは、その元帳票をデジタル化してあげることこそもっともなことで、これを実現できるのは会計事務所の先生方しかなく、どのくらいのスピードでできるのかということも先生方次第です。
自分自身で変われる中小企業はすごく少なく、我々が「IT支援」といっても全く信用されない、また騙されると思われてしまいます(笑)。「並走支援」は、先生方にしかできません。でも確実にお金はもらえます。

因みにIT業界にはERPコンサルという人がいます。主に20代後半~30代前半の若い人たちが、専ら大企業に派遣されていくケースが多いのですが、平均単価は270万円/月くらいです。20~30代の給与なんてたかが知れている中でこれが相場なので、だからコンサルティングファームは大儲けです(笑)。
ではなぜそんな単価がもらえるのかというと、バックオフィスのコンサルができる人が少ないから、なんです。中小企業でもバックオフィスの改革は、特にこの5年間で必要なことです。そのスピードを上げるためのアクセラレータとして、会計事務所はとても重要なキーパーソンであると思う次第です。

モデレータ:
今までのお話をお聞きしている中で、本当に会計事務所の立ち位置は重要だと。行政の方々からしても、会計事務所との連携は必要だし、そのための補助金とかも沢山あるのに使われていないじゃないかと。認定支援機関となっても、何を支援すればいいのかわからないといったところが問題じゃないのかと思います。

認定支援機関となって、何を中小企業のためにできるのか考えていかないとなりません。大変失礼な言い方をすると、税金の計算だけでは顧問料はこれ以上上がらないと思います。より付加価値の高いところにいかにシフトしてくかが、まさに坂本社長の仰るところではないでしょうか。

 

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