公開日:2019/07/30
2019年7月11,12日に開催された「会計事務所サミット2019」に出展いたしました。
7月12日には、パネルディスカッション「中小企業を取り巻く環境変化と会計事務所の役割」に弊社の代表取締役社長 坂本恒之も登壇させていただきました。
パネルディスカッションの様子を全3回に分けてお届けします。
・第1回レポート(本ページ)
・第2回レポート
・第3回レポート
■パネルディスカッション「中小企業を取り巻く環境変化と会計事務所の役割」
【登壇者】
・中小企業庁
・金融庁
・全銀協
・坂本恒之(株式会社スマイルワークス 代表取締役社長)
・モデレータ:中井誠 氏(株式会社実務経営サービス代表取締役会長)
会計事務所サミット2019 サイト
https://www.jkeiei.co.jp/summit/
企業の財務会計業務のIT化の推進
冒頭、中小企業庁、一般社団法人全国銀行協会(全銀協)及び金融庁のパネラーから財務会計業務IT化への現状の課題と対応についての説明が行われました。
(各組織としての見解だけでなく、パネラー個人の意見も含まれております。)
中小企業庁:企業と連携し財務会計のIT化をサポート
現在、多くの中小企業が置かれている状況で深刻な問題は「人手不足による生産性向上の停滞」です。一方で、この問題を乗り越えた企業の特徴としては、IT化の促進に努めた結果という見方ができます。
例えば多くの中小企業では、紙媒体による伝票作成が業務として存在し、またそれが「手書き」によるところも未だ残っています。これは大企業側の責任もあり、固有の書式フォーマットが存在するため、中小企業がその制約を受けているという現状があるからで、デジタル化を阻む要因の一つとも考えられます。
そこで中小企業EDI(受発注業務のデジタル化)の促進を行うための実証実験をスマイルワークス社とも協力して実施し、その有益性を確認しました(詳細はスマイルワークス社の項で解説)。今後は金融機関EDIとも連携し更なる付加価値を高め、導入促進を進めていく予定です。
そのための方策として、先ずは実証試験参加企業とともに「つなぐITコンソーシアム」を設立し、中小企業共通EDIを使って生産性向上を目指す中小企業を、その導入検討時から運用開始までを強力にサポートしてまいります。
また、補助事業による活用支援として
①ものづくり補助金(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/index.html)
②IT導入補助金(https://www.it-hojo.jp/)事業を行うと同時に、②に連動して認定情報処理支援機関(スマートSMEサポーター)制度を創設し、生産性向上に資するITツールを提供するITベンダー等を認定することで、これらと連携してIT化導入を図ってまいります。
参考:中小企業庁Webサイトより
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/index.html
参考:IT導入補助金2019サイト(サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局ポータルサイト)より
https://www.it-hojo.jp/
一般社団法人全国銀行協会:オリジナルEDIシステム提供で企業のIT化を支援
近年ITイノベーションの急激な高度化により、決済事業分野に於いてもその対応を要することから、2018年12月より全銀EDIシステム(ZEDI(ゼディ)、https://www.zengin-net.jp/zedi/)を稼働させました。
これは企業の業務効率化、生産性向上を目的に、企業間決済業務のデジタル化を図るものです。例えば支払い企業は、計理締めからの支払い業務を取引先ごとに纏めて行うことが通例ですが、それによる受取企業からの照会業務が軽減(支払金の内訳・明細のデータ処理)されます。反対に受取企業では、売掛金の仕分け業務が効率化され、業務改善による人的リソースの開放・他業務への振り分けによる生産性向上が見込めます。
また、受発注業務のデジタル化により、個別帳票のアナログ管理から見積もり~受発注~納品~検収~支払い(入金)までをトータルでサポートできる、スマイルワークス社とも連携してまいります。
ZEDI活用の効果としまして、例えば電子領収書としての利用によるコスト削減(保管管理費、発行費、印紙税が不要)が見込めるのと同時に、取引金融機関より付加的サービスの提供の創設が可能となります。一例として、コンサル機能のご提供やトランザクションレンディングといったものが考えられます。
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参考:全国銀行資金決済ネットワークサイトより
https://www.zengin-net.jp/zedi/
金融庁:「FinTechイノベーションHub」FinTech促進への取り組み
金融庁では「FinTechイノベーションHub」を設立しました。ここではFinTechの最新の情報を収集し新たな課題発見につなげていくことを目的に、「100社ヒヤリング」を実施し意見交換等してまいりました。そのうち2つの事例をご紹介いたします。
①AIとデータ連携の融合によるフローデータを用いたオンラインレンディング(※1)の急激な進展
②ビジネスレンディング・事業継承(M&A)などのプラットフォーム提供による経営支援・社会課題解決型FinTechの登場
前者では、仕分等のデータからデイリーベースのキャッシュフローの再現が可能となり、独自の与信モデルと組み合わせて審査を行うことが可能となることで、例えば3期分の決済書類がなくとも融資等が行えるようになります。またサービス業などでは、予約データからの将来予測ができるサービスも登場しています。今後はAI技術と伝統的な統計手法を組み合わせることで、デフォルトデータのみに依存せず、フローデータ活用で更なる高度化を目指しています。
後者は、事業マッチングサービス等によって小規模な事業継承も対応可能となり、その際に発生するファイナンスニーズが、金融機関のマッチングサービスへのシナジーを生んでいます。また、M&Aに係る一連業務のハードルを引き下げることが可能となりました。金融庁は金融機関を監督する立場として、銀行はもっとコンサルティング機能を発揮してくださいと言ってまいりましたが、こうしたサービスの登場により実現性が高まったともいえます。
また全邦銀に対してオープンAPIを促進してきましたが、そのAPIでFinTech企業とも連携し新しいサービス、オープンイノベーションを促進していくことにより新しいニーズを生み出していく、そうした試みも行っております。例えば電子決済代行会社のようなFinTech企業と、金融機関が安全にデータ連携することによって、新しいサービスの創造などを後押ししていこうとしているところです。
(※1)オンラインレンディング:インターネットを使用したオンライン融資サービスのこと。
株式会社スマイルワークス:「部分最適」から「全社最適」そして「企業間最適」へ
当社は先にご紹介のあった、EDIの実証実験において主体となった中小企業庁をはじめ、全銀協、金融庁とも連携し参加させていただいたのでその結果をお伝えしたいのと同時に、本日ここで最もお伝えしたいことは「この5年に中小企業にとって最大のチャンス!」と思っているということです。
それはなぜか? といいますと、変化のスピードが速い昨今の状況の中で、変化がないことこそリスクとも考えられますが、大きな変化とともに小さな会社には大きなチャンスが生まれるからです。否が応でも法令改正があり、インボイスの対応、消費税の変更、電子帳簿保存法などほぼ義務化となるのは間違いなく、業務ソフトもその流れの中でクラウド化していくものと思われます。
本日のお話の中で、金融業界もデジタル化します。しかし金融の決済がデジタルになるに伴って、その手前の部分もデジタルでなければならなくなります。こうした中で会計事務所や中小企業がいま最も困っていることは、人手不足です。ではなぜ人手が必要なのかといえば、「紙を使って手作業で何かをするから」です。
ですので、最近会計事務所への依頼として「経理代行」が増えていると思います。固有の人手に頼って行ってきた業務が、その人が居なくなることで補完できなくなってしまうからです。最近の時世では法改正が行われ、インフラも「デジタル化」に流れています。だから「大チャンス」が訪れていると思う次第です。
多くの中小企業では業務ソフトを導入していても、大体が「部分最適」です。例えば経理は会計ソフトを導入し、営業は販売管理ソフトを使っていたりします。これはそのソフトを使う人には良くても、会社全体ではせっかく販売管理ソフトでデータ化した売上情報を紙で出力し、経理部がその紙を見ながら手作業で入力していく、場合によってはそのチェックをするため会計事務所に経理データを「紙」で持っていく、ということを行っているのです。
同じ会社の中でも部分最適はできていても、部署を跨いで「全社最適」ができていない、ということが大きな問題だと考えています。そこで経済産業省が出している指標に基づくと、IT導入のステージを4段階に分けることができます。
ステージ1はITの導入段階だとすると、ステージ2は部門内最適化です。そしてステージ3は会社全体の生産性を向上させるために会社全体の最適化をする、これが我々スマイルワークスが手掛けるERP、統合業務ソフトです。
例えば経費精算の処理を行ったら自動的に経理システムで仕分けが行われる、または先ほどZEDIのご紹介がありましたが、銀行から入金データを取り込んだら、それが自動的に仕分けを行うことができます。ここには誰の手入力も発生しておりません。このように全体最適を行う、というのがステージ3です。この割合が大きいのがアメリカで、ステージ3以上は全体の54%が該当し、日本は22.75%です。
最後に「企業間取引の最適化」、これがステージ4です。これが先ほどからお話に出ているEDIで、紙でのやり取りを止めて電子データのやり取りを行うことによって、誰かが紙から手入力を行うこともなります。税計算も自動化できます。消費税計算はこれから大変になりますが、これも自動的に行うことができます。
つまり、単機能の業務ソフト(ステージ2)をERP(ステージ3)にして全社最適を行い、さらにはEDI(ステージ4)で企業間最適まで行いましょう、というのが本日のお話です。
(以下、次号に続く)
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